はじめに
はじめまして。ソフトウェアエンジニアの向井です。
先日、フライウィールでは昨年に引き続き、社内メンバーを対象として 2回目となる LLM(大規模言語モデル)ハッカソンを開催しました。
フライウィールでは 2024年 6月に LLM を活用した Conata Data Agent (データ エージェント) をリリースし、現在も様々な社員が多方面からプロダクトとして育て上げている最中です。
ハッカソン実施の 2週間前に基本的な LLM の呼び出し方や RAG、そして エージェントの基本的な作り方についてのレクチャーがあり、JIRA 上にてアイデア募集、およびそれぞれのアイデアに対するメンバーの募集が始まりました。
ハッカソンには、普段から Conata Data Agent をはじめとする LLM 周りの開発に深く関わっているメンバーから、普段は他の技術を中心とするデリバリーに関わっていて LLM 周りを触らないメンバー、そしてビジネスサイドの職種まで多種多様な参加希望がありました。繁忙期の方も参加がしやすいように、アイデアの実装難易度が易しいものも発案され、誰もが関心を持てるイベントになっていたように思います。
当日は 10時から実装をスタートし、約 6時間かけてプロトタイプや資料を作成し、最後にプレゼンテーションによる発表を行いました。
実装されたアイデアは、日頃の業務において人手で行っていた作業を LLM を用いて効率化するものが多くみられました。個人的には deprecated API を新しいものに置き換える等のコードベースの自動メンテナンスや、コードから指定のフォーマットのドキュメントの自動生成を行うアイデアにニーズを感じ、共感しました。また、アイデア出し自体が難しいということに動機づけられ、課題発見自体を日頃の社員のやりとりをソースとしてエージェントに担わせるようなアイデアも印象的でした。さらに、RAG の市場調査レポートを作成された方もいて、プロダクトへの貢献の仕方として型に縛られない斬新さも感じました。
発案されたり実装されたりしたものの中で実際の業務の中で参考にされるものも出てきており、有意義な回だったのではないかと思います。
ハッカソンは技術的な挑戦の場だけでなく、普段は別々のチームやプロジェクトに所属しているために、関わることのないメンバーが集まることで、互いに日頃どのような問題意識を持っているのか、またどのような創造性を宿しているのか、窺い知ることができる良い機会でした。私も日々の業務で Web のフロントエンドやバックエンドの開発に従事することが多く、LLM や RAG 自体に業務で直接関わることはほとんどありません。今回のハッカソンやその事前説明を通して、改めてそれらの概念や実装について復習することができました。
ハッカソンを通じて感じたフライウィールのカルチャー
フライウィールには 5つのコアバリューがあり、社員は日頃からそれらを胸に留めて仕事と向き合っています。今回のハッカソンでもそれらのコアバリューが発揮された瞬間を垣間見ることができました。中でも特に Focus on Impact and Decide What You Do and Not Do、そして Respect Open Communications and Feedback が発揮されていたように思います。
前者については時間制限がある中で効果的なプロトタイプを作るために物事の優先順位を決めるなど堅実性を保ちながら、失敗を恐れず積極的に挑戦し成長やモチベーションに繋げていくといったバランスの良さを感じました。今回のハッカソンを多くのメンバーが技術的な成長へのモチベーションにつなげていることと思います。
後者について、異なるバックグラウンドを持つ社員たちが共通の目標に向かって協力しあうことはもちろん、違うチームであっても助言が飛び交う場面もありました。日頃から組織横断でアサーティブに open communication を行っている結果だと思います。実際、ソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、プロジェクトやプロダクトのマネジメント、そしてビジネスサイドなど、職種を超えた視点を持ってプロダクトや組織をより良いものにしようという姿勢を同僚から感じています。これらは技術力を向上させたり視野を広めたりするだけでなく、組織全体の活気を生み出すことにもつながっていると思います。
今後もこのようなイベントを通じて、社員同士の交流や各自の成長のきっかけとなる機会が提供されると良いと感じています。