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エンタープライズ向け生成AIで開拓する新たなデータ活用の時代

はじめに

企業内の膨大な情報から自分が欲しい情報を探すのに多大な時間がかかった経験はありませんか? 手に入れたい情報を手に入れたとしてもインサイトを抽出するのに苦労したり、データサイエンティストに毎回データ分析を依頼する必要があり、その度に多大な時間とコストがかかっていませんか? 自社での生成AI活用が中々進まないという悩みはありませんか? このような課題は情報化社会において、どの企業も直面する共通課題です。

現在のトレンドとして、多くの企業が自社に生成AIを導入し、その恩恵を受け始めています。実際に2024年に行われたPwCの生成AIに関する実態調査では、売上が500億円以上の日本企業のうち、43%が生成AIを活用しています。生成AIは情報検索やデータ分析の効率化において大きな役割を果たしています。生成AIを活用できていない企業は、競争力を失うリスクが高まりつつあります。

この記事では、情報検索とデータ分析に関する課題を解決するためのエンタープライズ向けAI製品やその効果、活用事例を紹介したいと思います。

データ検索と分析の現実:直面する課題とその影響

まず、企業が直面する情報検索とデータ分析についての課題をもう少し深掘りしましょう。

SaaSの登場によりシステムと情報のサイロ化が進んでいる中、オウケイウェイヴ総研によると情報検索にかける時間は一人当たり1週間に8時間にも及びます。また、ZDNETの記事には、社内情報を調べても未解決に終わる場合が77%と非常に高く、誰に聞けばいいのかわからないまま上司や同僚に聞く、という調査が紹介されていました。このように、様々な企業では情報の分散が拡大しており、多くの従業員が情報を探すのに膨大な時間を浪費し、生産性が低下しています。

多くの企業ではデータ分析・活用が容易にできていないのが現状です。特にデータから素早く洞察を得て、意思決定を行いたい営業や経営企画にとってデータ分析には多くの課題が残されています。多くの営業・企画メンバーは直接社内データにアクセスがしづらく、データ分析チームに毎回要望を伝える必要があり、分析のリソースを圧迫しかねません。また、ダッシュボードなどのデータ活用インフラを整えている企業でも、特定の情報からしかインサイトを得ることができず、日常茶飯事に変わるデータへのニーズに追いつけないのです。

市場にあるエンタープライズ向け生成AIの紹介

情報検索とデータ分析の課題を解決してくれるエンタープライズ向け生成AIは市場に色々存在します。ここでは、その中で代表的なものをピックアップしました。

Glean

企業内のナレッジ、データ、情報が保存されている全ての社内システムを横断検索し、従業員が必要な情報を素早く見つけられるようにする生成AIベースのインサイトエンジンです。

  • 企業内システムの横断検索

Microsoft 365、Box、Google Workspace、Slack、Salesforceなど、100以上の事前構築されたコネクタを提供しています。これにより、企業内の様々なシステムやアプリケーションを横断的に検索し、必要な情報を瞬時に見つけ出すことができます。

  • Glean Chat

ChatGPTのような対話型AIが統合されており、ユーザーは自然言語で質問することができます。このAIアシスタントは、横断検索とLLMを組み合わせることで社内データを最大活用した回答の生成が可能となります。

  • パーソナライズされた検索結果表示

ユーザーの役割や過去の検索履歴を学習し、個々のユーザーに最適化された検索結果を表示します。例えば、新入社員がマーケティングチームに所属している場合、その部門に適した入社ガイドを優先的に表示するなど、ユーザーの文脈を理解した結果を提供します。

営業活動の効率化として、顧客情報、製品資料、過去の類似提案書などを迅速に検索できるようです。

Thoughtspot

リアルタイムのビジネス分析データを簡単に探索、分析、共有できるビジネスインテリジェンスおよびビッグデータ分析プラットフォームです。

  • AIを活用した自然言語検索と分析

複雑なSQLクエリを書く代わりに、日常的な言葉でデータを検索できます。例えば、「先月の売上トップ10製品」のように質問するだけで、関連データが表示されます。LLMとthoughtspotの検索技術を掛け合わせることで、システムは質問の意図を理解し、適切なデータソースから情報を抽出します。検索結果はリアルタイムで更新され、即座にビジュアライゼーションが生成されます。

  • SpotIQ

機械学習と生成AIが自動的にデータセットを分析し、重要な洞察を生成します。その発見された洞察の理由や背景までも自然言語で説明してくれます。機械学習モデルを使えば、SpotIQはwhat-ifシナリオを生成し、数値の予測も可能です。

  • ダッシュボード

ドラッグ&ドロップインターフェースで、ユーザーは簡単に自分なりのダッシュボードを作成・編集できます。リアルタイムでダッシュボードがアップデートされており、気になる部分は掘り下げ分析する事ができます。

営業活動の効率化として、顧客情報、製品資料、過去の類似提案書などを迅速に検索できるようです。

ExaBase 生成AI

Exawizardsが提供する法人向けChatGTPです。

  • セキュリティ

大企業でも安心して使える生成AIの機能や、禁止ワードや機密情報の登録、ユーザーログの監視などのセキュリティー機能が存在します。

  • データ取り込み

社内規定や自社商材の資料などの社内文書を簡単に連携でき、社内向けのQAや顧客向けの提案資料も簡単に作成可能です。また、Excel、PowerPoint、Word、PDF、CSV、txtなど、さまざまなファイル形式に対応しています。

    品質管理に関する情報は膨大でも、規定や過去のトラブルなど瞬時に検索可能になるようです。

    Conata Data Agent

    Conata Data Agent ( データ活用 アシスタント )
    フライウィールからは「Conata Data Agent (データエージェント)」を提供しています。データを扱う専門的な知識がなくても、企業に蓄積されたデータから有用な情報を引き出すことができる「 データ活用 アシスタント 」です。

    • エージェント機能

    ユーザーが入力したタスクや質問に基づいて、エージェントが生成AIと社内の多様なデータを活用し、対話形式で様々な業務を自動的に遂行してくれます。例えば、ユーザーが2024年1月から4月までの売上を見たいという要望があれば、社内データからどの情報を抽出すればいいのか自ら判断し、売上を可視化したグラフを生成します。折れ線グラフから棒グラフへの切り替えやグラフの重ね合わせも対話的に実行することができます。専門知識がないユーザーでも簡単にデータを活用でき、複雑な質問やタスクにも対応可能です。

    • 様々なデータソースや形式に連携可能

    PDFや画像データ、ドキュメント、表計算ソフト、プレゼンテーション向けのスライドなどの様々なデータ形式に対応できます。また、データソースも一般的なMicrosoft365、Google Workspace、Slackに加えて、非SaaS製品、日本企業向けサービス、レガシーシステム、IoTデータなどの特有のデータソースに柔軟に連携可能です。

    • 情報検索技術

    検索や大規模データ処理など多様な専門性を持つBig Tech出身のエンジニアが多数在籍するフライウィールでは、ドキュメント処理、インデクシング、クエリ処理、ランキングなどにおいて Google や Bing といった大規模な検索サービスで利用されるテクニックを駆使して大規模高速高精度な検索を実現します。そのため検索に基づく回答生成(RAG : Retrieval-Augmented Generation)においても質の高い回答を生成することが可能です。

    • DataOpsの実践

    DataOpsは、データ管理者と利用者の協力を促進し、データフローの統合と自動化に重点を置いた方法論です。フライウィールでは、データ活用プラットフォームConataでデータ基盤を構築し、データ管理の自動化・効率化を図りながら、最新のデータを取り込んでアプリケーションで利用可能な形でデータを準備します。これにより、データの品質やセキュリティを維持しつつ、ビジネスにおける迅速な意思決定をサポートします。

     

    データエージェントのインターフェイスから、いくつかを抜粋してご紹介します(参考画面であり実際の画面とは異なる場合があります)。

    「検索エージェント社内のデータを横断的に検索し、質問への回答に必要な情報を収集したうえで、それらに基づいて回答を生成します。

    Knowledge Search

     


    「テキスト解析」テキストデータから時系列での傾向や課題が分析でき、洞察や示唆を得られます。

    Perspective

     


    「データ分析」対話型の操作で、直感的にデータの可視化やドリルダウンによる深い分析ができます。

    Data Copilot

     

    Conata Data Agentのユースケースの一つとして、品質管理における活用があります。特に製造業ではトラブル発生時の対応に多大な時間とコストがかかっています。情報検索技術と生成AIを活用し、関連文書の検索、対応策の提案、予防措置の考察までのタスクをエージェントは遂行してくれます。ユーザーが自然言語でトラブルの内容を入力すると類似事象の報告書のデータを活用し、対策案を提示します。これに加えて、トラブル想定原因の事実検証(ログ解析・画像解析・映像解析)を行い、原因を特定し同事象のリスクまでを予測して再発防止案まで提案可能です。

    最後に

    ここまでデータ活用の新しい世界を実現するエンタープライズ向けの生成AIの代表的な製品を紹介してきました。

    社内に膨大なデータがあり検索に多大な時間がかかっている、社内でデータ分析・活用が容易にできていないと感じたら、DataOpsを実現できるデータ活用プラットフォームと大規模高速高精度な検索技術の導入に加えて、生成AIを適切に導入することによりデータ活用の可能性が一段と広がっていきます。

    生成AIはすでに企業にとって身近なもの、必須なものとなってきています。生成AIの可能性と皆さんの企業の可能性を組み合わせて、新しいデータ活用の世界を切り開きませんか?

    フライウィールではConata Data Agent(エンタープライズ向けデータ・生成AI活用)の提供を行っており、生成AIの専門家が多数在籍しています。ぜひ以下のリンクから詳細を確認してみてください。

    Conata Data Agent