こんにちは。ソフトウェアエンジニアの yuku です。
いきなりですが FLYWHEEL ブログは 2019 年を通じてここまで 1 件しか投稿されていません。言うまでもなく、ブログの継続性が大きな課題となっています。同様の課題を抱えている企業ブログも多いのではないでしょうか。
企業ブログを継続することが難しい理由はたくさん考えられます:
- 日常業務が忙しい
- 何をかけばいいか分からない
- 文章を書くのが苦手
- 責任者(推進する人)がいない
- 顧客データを扱うことが多いので、情報を外に出しづらい
- など
日常業務が忙しい、というのは特によく耳にする理由です。では、そもそもなぜ会社でブログを書くのでしょうか?突き詰めていくと「自社製品の販売促進のため」あるいは「人材採用のため」のいずれかになることが大多数です。 FLYWHEEL の場合は、ほぼ後者です。
人材採用は、少なくとも成長段階におけるスタートアップにおいては、最優先されるべき業務の一つです。それだけをしていれば十分ということは無いですが、忙しいことを理由に後回しにしていい類のものではないこともまた確かです。というか、日常業務の中で率先して取り組まれるべきでしょう。
仕事として行う以上、そこにはある程度の効率と成果が求められます。そして、こうした目標を達成していくためには、何かしらの戦略が必要です。
このたび、ほぼ 9 ヶ月に及ぶ休眠期間を経て、 FLYWHEEL テックブログを再開すべくブログ責任者に就任しました。 FLYWHEEL Advent Calendar 2019 第 1 日目はブログ再起動 & Advent Calendar に向けて行ったブログネタ発掘会の様子を紹介します。
チームに眠るアイデアを発掘する
情報発信は日常業務の一部です。責任者も決まりました。となると、次に解決すべき課題は「何を書けばいいか分からない」ではないでしょうか。
FLYWHEEL では過去にスプレッドシートを用意して社員にブログアイデアを書き込んでもらったことがありましたが、出てくるアイデアの数が少なかったことに加え、アイデアを出す人も偏っていました。アイデアを出したいが考えても思い浮かばない、ということは誰にでもあるものです。だからといってそこで諦めてしまうと問題は解決しないので、他のアプローチを取ることにしました。
キーワードを考える
文章を考えるより、単語を考える方が楽、というのは多くの人に同意してもらえると思います。いきなりブログアイデアを出そうとしてもうまくいかない可能性があったので、まずは準備運動として「我々がリーチしたい人が検索していそうな単語」を考えてもらいました。Slack のスレッドに書き込んでもらう形で投稿してもらったところ半日で 100 個近い単語が集まりました。
うまく助走がついたところで、次はこの単語群を発想の種にしてブログアイデアを出します。
タイトルを考える: Brainwriting
アイデアを発散させる方法の一つに 6-3-5 Brainwriting があります。 6-3-5 Brainwriting では原則的に 6 人一組を作り、あるテーマに対して 6 回に渡って 3 個のアイデアを 5 分で紙に書き出します。1 つのラウンドが終わったら隣の人に紙を回し、反対の人から紙を受け取って追記します。つまり第 2 ラウンド以降は、ここまでに他の人が出したアイデアを見つつ発想を広げていきます。結果的に一人あたり 18 個のアイデアを出すことになります。
今回は「テックブログに投稿される記事のタイトル」をテーマに、時間の都合で 3 分間隔で、言うなれば 6-3-3 Brainwriting (6 回 3 個のアイデアを 3 分で出す)を行いました。参加者は 18 分で 18 個のタイトル案を考えます。何の工夫もなしに「18 分で 18 個アイデアを出してください」と言われてもなかなか難しいのではないでしょうか。
Brainwriting に取り組んでいる様子
さきほどの工程で作ったキーワードなども眺めつつ、 13 人で 6-3-3 Brainwriting に取り組みました。その結果、手法の説明をする時間も含めて 40 分程度で 200+ 件のブログタイトルのアイデアを作ることができました。クラウドの話題から会社のカルチャー、使っているツール、PM 論、はてはエンジニアの生態みたいな話など、多種多様なアイデアが出てきました:
- マルチクラウドでの IAM の管理
- slack の channel の命名規則
- FWが考えるテックカンパニーとは
- Data Driven Decision, Data Inspired, Data Informedの違い
- CTR predictionについて
- API best practices を読んで解説
- エンジニアの好きなごはん
- Why engineers use MacBook
- お客の本当にほしかったモノを知るには?
- WebFluxつらい(どうしてつらいのか?)
- Bazelの使い方
- など
Brainwriting で使ったシートは エンジニアの為の、アイデア効率化 – Qiita を参考に用意しました
さらに得られたタイトルから名詞だけを抽出して出現回数の多いものを取り出してみました:
- 13 Slack
- 12 データ
- 12 エンジニア
- 8 k8s
- 7 Spark
- 7 data
- 6 AWS
- 6 SQL
- 5 技術
- 5 FW
- 4 BigQuery
- 4 GCP
- 4 gRPC
FLYWHEEL のエンジニアチームを表現する特徴ベクトルを考えるとして、この単語とその出現回数は結構「それっぽい」と個人的に思います。面白いですね。
アイデアを発散させるその他の手法
Brainwriting はアイデアを発散させるための手法です。同じく発散段階でよく使われる Brain storming と比較して、いくつかのメリットがあると感じました:
- Brain storming では声が大きい人の意見だけになってしまうことがありますが、 Brainwriting では全員が等しく 18 個のアイデアを出します
- アイデアをその場で記入するので、記録をとり忘れる心配がありません
- 紙に記入するだけなので、皆の前で考えを発表するのが苦手な人でも臆せずにアイデアを出すことができるかも知れません
収束させる
似たような内容のアイデアも含まれるので、手動で簡単なグルーピングを行いました。
結局のところ最終的にどういうテーマで記事を書くかは個人に委ねられます。今回の試みは皆がテーマを考える上での助け舟を出すことにあったので、ひとまず一覧を可視化して参考にしてもらうに留めました。
よせられた感想
参加したメンバーから今回の取り組みに対して以下のようなフィードバックがよせられました:
- 最初の一回は難しかったけど、二回、三回と重ねていくうちに勝手がつかめてどんどん書けるようになりました。
- 「自分以外の誰かがブログを書くためのアイデア」とすることで、ネタが思いつきやすくてよかったです。
- 一人で考えていたときは数個程度しかアイディアがでなかったけれど、後半になるにつれて他の人のアイディアを見ることでまた違ったアイディアがでてきて、難なく18個うめることができました。
- Brain stormingと違い、6-3-X Brainwritingでは時間が限られているのが良かったです。限られた時間の中で一定数のアイデアが出せました。
- ゆるい匿名性があったのが嬉しかったです。
カラーバス効果
会議室に人を詰め込んで Brainwriting を行ったのは、アイデアを出すためだけではありません。アイデアを全力で考える時間を設けること自体も重要な目的の一つでした。
何かの情報を意識することで、それと関連した情報が自然と集まるようになる現象のことをカラーバス効果といいます。例えば BMW の車を買ったらその途端に道を走る BMW の車が目につくようになったりします。当然ですが、日本の公道を走る BMW の台数はそう劇的には変わりません。
今回一定時間ブログアイデアを考えたことで、頭のどこかにその意識が残るはずです。そうなれば今まで見落としてしまっていたアイデアに目が止まる可能性が高まり、結果的に会社のテックブログの継続性に何かしらプラスに働くと期待できるのではないでしょうか。
FLYWHEEL Advent Calendar 2019 乞うご期待
こうして FLYWHEEL Advent Calendar 2019 はネタ出しから始まりました。よく言われることですが「ネタがあるからブログを書くのではなく、ブログを書こうと思うからネタに目が止まる」ようになります。今回の活動が、今後のテックブログにどのような影響を与えるのか、あるいは与えないのか要注目ですね。