導入のきっかけ
地下鉄駅構内を中心としたDOOHの価値向上のため
デジタル広告の経験豊富なフライウィールと協業
大阪メトロ アドエラでは、地下鉄駅構内を中心にDOOH(デジタル屋外広告)を設置しています。今回、このDOOHで表示する広告を各サイネージ・時間帯のオーディエンスに合わせ最適化する仕組み(プログラマティック広告配信プラットフォーム)を導入することで、広告主様とお客様にとってより魅力的なものにすることを検討していました。
従来の屋外広告だけで広告主のニーズに応えることに行き詰まりを感じていました。また、コロナ禍の影響で広告出稿額が減少し、新たな価値提供を考える必要に切実に迫られました。さらに、広告主様、広告会社様からは交通広告の計測効果の可視化やデータを活用したターゲティング配信には高い期待感がありました。そのような中、大阪メトロ アドエラとしても試金石となる取り組みが必要だと感じていました。
フライウィールは、大規模データの処理技術やパーソナライズ技術に加え、デジタル広告における配信アルゴリズム開発やコンソールの構築、さらには広告運用の経験も豊富にあるため、本取り組みのパートナーとして最適と判断し、協業することにしました。
どんなことを実施したか?
地下鉄特有のデータを活用し
プログラマティック広告配信プラットフォームを構築
フライウィールと協業することで、ターゲットオーディエンスを指定するだけで、自動的に最適な場所・時間に広告が表示されるプログラマティック広告配信プラットフォームを構築しました。
まず、改札データやPiTaPa(スルッとKANSAI協議会が展開する交通系ICカード)のユーザー属性データ、各サイネージの視認率に関するデータを整備・統合したうえで、各サイネージのオーディエンスを類推するモデルを構築しました。個人情報の保護を最優先に、個人が特定できるデータは利用せずにユーザー属性を類推し、更新は週次で行われます。
加えて、指定したユーザーセグメントや広告予算額に基づき、最適なサイネージ・時間帯を特定するアルゴリズムを開発しました。また、実際に広告会社様が利用するコンソールの構築もフライウィールに依頼しました。
これにより、広告会社様はターゲットオーディエンスの年齢と性別、予算などをコンソールを通じ設定するだけで、最適な場所・時間帯に広告を表示できるようになりました。また、類推されたインプレッション数に応じた費用のみを支払うCPMベースでの広告出稿が可能になりました。
導入後の効果
広告主様・お客様にとってより魅力的な広告体験の提供が可能に
今回のプログラマティック広告配信プラットフォームの導入は、広告主様・鉄道を利用されるお客様双方にとって大阪メトロ アドエラのDOOHをより魅力的なものにすると考えています。
これまで、広告主様は静的な情報に基づいた配信しか出来ませんでした。それに対し、週次のデータに基づいた、より精緻なターゲティングが可能になります。より効果的に広告を届けたいオーディエンスにアプローチし、より適切な費用負担をすることで、広告効果の改善が期待できます。実際に出稿を開始している複数の広告主様からは、効果(視認数)の可視化や店舗への送客効果について好評をいただいています。
実際に出稿を開始している複数の大手広告主様やスポーツアパレルメーカー様からは、配信効果(視認数)の可視化や店舗への送客効果について好評をいただいています。
お客様にとっても、個人情報が保護されているなかで、より関連性の高い広告がDOOHに表示されることで、広告情報が意義のあるコンテンツ情報として認識され、満足度の向上につながるのではないかと考えています。
今後も、フライウィールとの協業により、ますます大阪メトロ アドエラのDOOHの価値向上を実現し、鉄道を利用されるお客様、広告会社・広告主様への新たな価値を創造していければと考えています。
お客様からのコメント
複数の広告主様から、効果(視認数)の可視化や
店舗への送客効果について好評をいただいています
なぜフライウィールを選んだのでしょうか?
国内OOH市場で例の少ないプログラマティック広告配信プラットフォームを構築するにあたり、データ整備や仕組み化のノウハウ、ネット広告における広告配信プラットフォーム構築の実績があることが魅力的でした。また、データ整備に加えて、データによる計測がポイントになるため、国内外の大手プラットフォーム出身のメンバーが多くエンジニアリング力が高い点が決め手になりました。
フライウィールとの取り組みでどんな変化がおこりましたか?
フライウィールとの協業から具体的なDX推進についての理解が進んだ結果、新しい知見を他のプロジェクトでもスピード感をもって活かす動きが社内に浸透しつつあります。アジャイルでの開発におけるスピーディーな仕事の進め方は、社員育成の視点からも参考になっています。
広告主様からの反応はいかがですか?
2021年9月に開始以降、複数のナショナルクライアントをはじめ出稿をいただいています。若者など、特定のセグメンテーションに集中的に認知を獲得したいキャンペーンにおいても好評をいただいています。実際の来店者数が増加した事例も出ています。
今後のデータ活用を安心して遂行するのに必要とされるものは何でしょうか?
データ部分でいうと個人情報については、規約面を含めて、Osaka Metro Group全体で注意して取り扱う必要があります。生活者の声に耳を傾け、生活者ファーストで価値を還元していきたいです。
今後フライウィールとどんなことに取り組んでいきたいですか?
サードパーティデータの活用や他社システムとの連携など、広告主様の需要により柔軟に応えられるよう、また広告会社様にご使用いただきやすいものになるよう、検討を続けていきたいと思います。
掲載日: 2021年11月9日